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【本】自殺喫茶を読んだ

自殺喫茶

自殺喫茶

長らく積んでいた自殺喫茶を読了した。

ダウナーで問題を抱えた主人公が、変わり者の女性と、
そうではないクラスメイトに囲まれ、問題に直面し、解決し、成長する。
話の流れとしては、よくあるボーイミーツガール物といった感じで、
タイトルから想像したような重苦しさよりは、青春モノの爽やかさがあった。

作者のKDPデビュー作ということで、端々に荒削りさはあるものの、
キャラクターの個性や会話の雰囲気など最近の作品に通じる空気感もあった。

非常に残念な点として、最後まで読み終わっても回収されない伏線が多数あるという点がある。
続刊が販売される予定だったけれど、事情により発売されず、原稿も消失してしまったということで、
何とも言えないもやもや感が残る。

作中に登場した自殺屋というのは、
現実の日本に存在していれば自殺幇助罪によって処罰の対象となりうる。
とはいうものの、ベルギーなどの積極的安楽死、制度による自殺とその幇助が合法な国もある。
人が自分の死を選ぶことは正しいのかという疑問には恐らく答えは無いのだと思う。
生きていくことにどうしても目的を見いだせない人、生きていくことが困難な人、
日常が苦痛に満ちていて死に希望を見ている人...
理由は様々であるだろうし、個々人の選択は尊重されるべきだけども、
目の前の知人がその道を選ぼうとしていたら多分絶対に止めようとしているなと思うので、
そういった感情を抱いていたキャラクターにはとても共感した。