
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
- 作者: クレイトン M クリステンセン,タディホール,カレンディロン,デイビッド S ダンカン,依田光江
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
- 発売日: 2017/08/01
- メディア: 単行本
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以下読書メモ兼自分用要約
ジョブ理論とは?
- 従来のイノベーションに対する理論、「破壊的イノベーション」は、
既存のプロダクトをよりシンプルで低コストなもので駆逐する概念である。 - 新たなイノベーションを生み出すには別の視点がなければならない。
- 顧客がなぜ商品を選び取るのかを、その行動や原因から導き出し、
適切に解決するプロダクトを提供するのがジョブ理論
ジョブの概念
- 顧客がプロダクトを選択するとき、必ず解決したい「何か」が存在する。
これを「ジョブ」と定義する。 - ジョブとは、解決したい「何か」と、それを取り巻く状況を複合した概念である。
- 最終的に解決したい目標
- 目標を達成することを阻む障害や状況
- 消極的な解決策(無消費や間に合わせの解決策)
- 顧客が真に求めているのは、ジョブを適切に解決するプロダクトであり、
最大公約数的にすべてを解決しようと試みるプロダクトではない。
ジョブの見つけ方
- 解決するべきジョブのありか
- 日常生活の中での不便
- やりたくない、面倒で、手を付けていない物事
- 物事を成し遂げるときの間に合わせの解決策
- ジョブの解決にはプロダクトの機能面だけでなく、社会的側面、感情的側面が影響する
- 社会的側面とは、ジョブを解決することで得られる、生活や家庭に対して与える影響
- 感情的側面とは、社会的側面の改善によって引き起こされる感情の好転や改善
- 顧客が自分の要望を正確に伝えることはない
- 本人が感じているよりも、その行動に至るまでの決定要因は多い
- プロダクトを利用し始めるとき、利用をやめるときには重要な知見が含まれている
- 以前の解決策をやめたのはなぜか(何もしていなかったことを含む)
- プロダクトの利用をやめる原因は?
- 顧客の購買行動についてのデータは購入自体のデータであり、
そのプロダクトの実際の利用シーンを直接反映していない
- なぜそのジョブの解決に自分のプロダクトが利用されないのか
- プロダクトを利用しない層(無消費者)はなぜそのプロダクトを利用しないのか
- 利用している顧客と何が異なっているのか
ジョブを解決するためのプロダクト
- 顧客のジョブのディティールを把握する
- 顧客が求める目的・目標を、機能的・感情的・社会的側面で分解
- ジョブを解決するに当たって支払っても良い代償(金銭・時間等…)
- 現在存在するその他の解決策(競合)
- プロダクトを利用しはじめることを妨げている原因
- 適切にジョブを解決するプロダクトは一つのサービスの形となる
- 顧客が真に解決したいジョブを理解する
- ジョブを解決するに際しての障害を最小化する
- その他の選択肢からの移行を容易にする
ジョブに対して選ばれ続ける組織であるために
- 一度プロダクトをリリースすると、売上や目に見える成果を見てしまいがちになり、
ジョブへの注視が疎かになりやすい- 得られるデータが、ジョブの解決という視点に立った情報かを常に意識する必要がある
- ジョブの解決に最適化された組織は、より適切な体験を顧客に提供することができる
- ジョブを中心に、その達成のために組織を分割・結合する
- 一貫性のある体験を提供する
- ジョブを正しく定義し、組織の中に浸透させる
- ジョブを正しく理解した組織は、それぞれがジョブの解決のために正しい選択肢を取る
- 解決するべきジョブを共有できていれば、モチベーションが高まる
- ジョブの解決に対して、必要に応じたリソースを振り分けることができる
感想
全編に渡って語られる「ジョブ」という単位でプロダクトを見る考え方は非常に参考になる。
我々がプロダクトを選択する際に必ず見ているはずなのに、見逃してしまう盲点をついている。
ただ、文意が同じ内容を何度も何度も繰り返し語るため、非常に冗長に感じてしまった。
この点が難点であるものの、挙げられる様々な事例、思考は示唆に富んでおり、
読んで良かったと感じた。