発売日に買ったものの長らく積んでいた本。
新しい職場がスクラム開発を実践していたこともあり、このタイミングで読んでみた。
アジャイル界隈は熱気と活気があり、盛り上がっている界隈であることは観測しているものの、門外漢には踏み込みづらく、外から見たときにそのプラクティスの有効性もよくわからない、という気持ちがあった。
それは実践しているプラクティスがある種の「カタ」としてそのまま取り入れなければいけないという誤解であったり、インクリメンタルに作り上げる成果物にだけフォーカスしてしまい、組織の成長という観点が見えていないせいでもあったと思う。
Chapter1 アジャイル開発の世界 Chapter2 なぜアジャイル開発なのか Chapter3 アジャイル開発がもたらす変化 Chapter4 アジャイル開発の中核にあるコンセプト Chapter5 小さく始めるアジャイル開発 Chapter6 上手に乗りこなすためのカイゼン手法 Chapter7 アジャイル開発の理解を深める Chapter8 アジャイル開発はあなたから始まる
本書では、上記に引用した目次にあるように、
- アジャイルとはなんぞやという話
- どういった理念を中心に置いているか
- どういったプラクティスがあるか
- 既存の手法とどう違ってどう住み分けるべきなのか
が網羅的に書かれている。 この構成がわかりやすく、頭に入ってきやすかった。
ざっくり一言でまとめてしまえばアジャイル開発というのは 「不確実性のあるプロジェクトに適応する自己成長し続ける組織を作ろう」
ということなのかも。
当初「カタ」であると思っていたプラクティスは組織の課題や構成によって少しずつ作り変えて良いものであったし、成果物と一緒により良い組織の成長を作り上げることを考えていかなければならないんだと言うことを認識出来た。
ふりかえりを重視する文化というのが、ここに来てようやく腹落ちしたなという気分。
ただ、なんとなくこの一冊で実践までつなげるのは難しいなと感じた。手法や取り入れ方は紹介されているものの、どちらかというと理念・思想を中心に伝えて、実践者が理解して、それを他者に説明できるという状況に持っていくための本なのかも。
個別のプラクティスの実践には何らかの追加の書籍や調査が必要な気はする。ただ、一番最初にこの本を手に取ることによって、どの方向に踏み出すべきなのか、何を大切にするべきなのかを念頭に置いて歩み始められる良書だと思う。