人事・採用業務のつながりを知りたくて買った本。
採用業務部分はすでに知っていることが多かったが、下記に挙げるような人事領域はあまり考えたことがなかったので勉強になった。
以下メモとか感想とか。
人事の役割
本書の最初で語られるのは人事組織とはどういう役割を持っているのかということだった。
具体的には 「採用」「育成」「配置」「評価」「報酬」「代謝」。
これらの一貫性を保ちつつ、会社の理想とする人材のポートフォリオを構築するというのが目的としている。
人材ポートフォリオというのは、事業要件などに合わせた職種・等級や能力ごとの人口比のこと。
フェーズごとの組織要件の違い
これは著者の方が登壇されたイベントの記事が非常にわかりやすかった。
logmi.jp
ざっくりいうと認識の限界を超えたときに組織が階層化し、階層化によって組織の統制方針が変化し、フェーズごとにマネジメントの方針や構成員に求める振る舞いが変わるというもの。
グライナーモデルと呼ばれているらしい。
Stepの境界と、なぜそれが必要になるか、というのがしっかり語られていて納得感があった。
社内の人口フローを考慮した入社・退職率マネジメント
人事の役割のところでも書いたように、人事には社内の人材ポートフォリオの構築が求められている。
ここには採用計画や、退職率マネジメントなども含まれる。
配置・評価・報酬などの制度設計で組織の風土を定義し、形作っていく。
自分が読んだ感じでは大きく育成型と即戦力型の2つに分けられそうなイメージ。
育成型では
- 時間をかけて総合的な能力を育成し昇進
- 年功序列的な報酬システム
- 積み上げ式で功績を評価する
- 社内スキルの向上を重視
即戦力型では
- 優秀層を即戦力として採用
- 現時点の評価が反映される時価的な報酬システム
- 直近の成果に応じた評価
- ポータブルスキルを重視
という感じ。
育成型は退職率を抑え、即戦力型では適切なキャリアチェンジを促す。
感想
冒頭にも書いたように、人事業務についてほぼ何も知らない状態から読んだので面白かった。
正直、1メンバーとしてはあまり考えたことのない社員の「代謝」、つまり退職率のマネジメントの話はどきりとさせられる。
なんとなく企業は退職率を抑え、社員を育成し、配置していくものだと思っていたのだけれど、そうでない場合もあるよねと。
自分の所属してる組織や、求人などで制度を公開している企業がどのStepなのか、どういうタイプの制度設計をしてるのか考えたりすると面白そうだよなーと思った。